健康を維持するために毎日の水分補給は欠かせませんが、その水が硬水か軟水かによって得られる効果も異なります。特に硬水はミネラルを豊富に含むため、体に様々な影響を与えることが知られています。
本記事では、硬水を飲み続けることのメリットやデメリットについて詳しく解説します。
硬水とは何か?
硬水とは、カルシウムとマグネシウムを多く含む水のことを指します。WHO(世界保健機関)では、水の硬度によって以下のように分類しています。
硬度(㎎/L) 分類
60mg/L未満 軟水
60~120mg/L未満 中程度の軟水
120~180mg/L未満 硬水
180mg/L以上 非常な硬水
日本では、以下のような基準が一般的です。
硬度(㎎/L) 分類
0~100mg/L 軟水
101~300mg/L 中硬水
301mg/L以上 硬水
日本の水道水の平均硬度は48.9mg/Lで、ほとんどが軟水に分類されます。しかし、ヨーロッパでは硬水が一般的であり、そのため硬水の影響を受けやすい地域といえます。
硬水を飲み続けるメリット
美容効果の高いミネラル補給
硬水にはカルシウムとマグネシウムが豊富に含まれており、これらのミネラルは美容効果が期待できる成分です。カルシウムは肌のターンオーバーを正常化させ、きめの整った透明感のある肌に近づける効果が期待できます。また、マグネシウムは代謝に使われる酵素をサポートし、肌の弾力を維持する働きを持つといわれています。
便秘解消に向いている
マグネシウムは水分を集め、便を柔らかくする働きがあります。硬水でマグネシウムを摂取すると、便を柔らかくして出しやすくする便秘解消効果が期待できます。便秘が解消し腸内環境が整うと、栄養素の吸収がスムーズになり、代謝の促進や美肌効果も期待できるでしょう。
肉の煮込み料理に向いている
硬水に含まれるカルシウムは、肉を硬くする成分であるタンパク質と結びついて、アクとして抽出されます。そのため、肉の煮込み料理を硬水で作るとアクの量が増えますが、丁寧に取り除くことで、肉が柔らかく澄んだスープに仕上がります。また、パエリアやピラフ用にお米を固めに炊きたいときや、パスタをゆでるときには硬水が向いています。
硬水を飲み続けるデメリット
カルシウムやマグネシウムの過剰摂取の可能性
硬水にはミネラルが豊富に含まれるため、飲みすぎて過剰摂取すると体に不調が表れる可能性があります。通常の食事で摂取している場合や腎機能に問題がなく健康な方であれば、過剰摂取した分は排出されるため特に体に対する影響はありません。しかし、腎機能に問題がある場合は、次のような症状が現れる可能性もあるため注意しましょう。
カルシウム過多の場合は、尿路結石や高カルシウム血症など、マグネシウム過多の場合は下痢などの症状が出る恐れがあります。ミネラル成分を多く取り過ぎた場合、体内の自浄作用により排出されますが、腎機能に問題がある方の場合は、硬水を飲用する場合、摂りすぎに注意することと、必要に応じて専門医に相談すると良いでしょう。
味や飲みやすさへの影響
硬水は口当たりが強く、個人差はありますが独特の風味が感じられるのが特徴です。軟水に慣れた方が、硬度の高い水を飲む際は特に硬水独特の風味を感じやすいでしょう。硬水で紅茶やコーヒーを入れるとミネラル分に反応し苦味や焙煎の香りなどが引き立ちます。そのため、エスプレッソなどの苦味を楽しむコーヒーに向いています。一方で、紅茶やコーヒーの酸味が打ち消されてしまうため、旨みや香りを楽しみたい場合は軟水で、まろやかな風味を楽しむことをおすすめします。
素材の味を活かす料理には不向き
出汁や素材の風味を活かす料理には、風味の強い硬水は不向きです。日本における多くの地域は軟水であるため、和食には昔から軟水が使われてきました。反対に、肉の煮込み料理やパスタなどヨーロッパの料理には硬水が合うため、料理を作る際は、その料理ができた土地に合った水を選ぶと良いでしょう。
硬水の選び方と活用法
硬水を選ぶ際には、自分の健康状態や目的に応じて適切な硬度の水を選ぶことが重要です。また、硬水を活用する際のポイントも押さえておきましょう。
硬水の硬度を確認する
硬水を選ぶ際には、まずその硬度を確認しましょう。硬度は水のラベルに表示されていることが多く、特にヨーロッパ産のミネラルウォーターは硬度が高い傾向にあります。初めて硬水を試す場合は、中硬水(硬度101~300mg/L)から始めるとよいでしょう。
用途に合わせて硬水を使い分ける
硬水は飲用だけでなく、料理や飲み物の調理にも活用できます。例えば、エスプレッソや濃いめのコーヒー、肉の煮込み料理などには硬水を使うと風味が引き立ちます。一方で、繊細な味が求められる和食や紅茶には軟水を使うとよいでしょう。
硬水の取り入れ方
硬水を日常生活に取り入れる際には、次のような方法があります。
徐々に硬水に慣れていく
いきなり硬度の高い硬水を飲むと、風味が強く飲みにくいと感じることがあります。まずは硬度が低めの中硬水から始め、徐々に硬度を上げていくと良いでしょう。また、硬水は冷やして飲むと風味が和らぐため、冷蔵庫で冷やしてから飲むのもおすすめです。
飲み物や料理に活用する
硬水はそのまま飲むだけでなく、コーヒーや紅茶、スープ、煮込み料理などに利用することで、料理の風味や食材の特性を引き出すことができます。特に、硬水で作るコーヒーは深みのある味わいが楽しめます。
硬水の購入方法
硬水を購入する際には、次の点を考慮しましょう。
信頼できるブランドを選ぶ
硬水を選ぶ際には、信頼できるブランドやメーカーの製品を選ぶことが重要です。ヨーロッパのミネラルウォーターは品質が高く、ミネラルバランスも良いとされています。
オンラインでの購入
硬水はオンラインでも手軽に購入できます。定期購入サービスを利用すると、常に新鮮な硬水を手元に届けてもらえるため便利です。また、初回購入者限定の割引や特典も活用するとお得に購入できます。
まとめ
硬水はカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを豊富に含み、美容や健康に多くのメリットをもたらします。
しかし、過剰摂取や独特の風味には注意が必要です。自分の健康状態や目的に合わせて適切な硬度の硬水を選び、上手に日常生活に取り入れることで、その効果を最大限に引き出すことができます。
料理や飲み物に活用することで、硬水の特性を活かしながら美味しく楽しむことができるでしょう。